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樺細工
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か ば ざ い く

樺細工

​桜皮工芸とも呼ばれる樺細工。秋田県仙北市角館町が日本で唯一の産地です。ヤマザクラの樹皮を素材に、現代では茶筒や茶櫃などの茶道具、お盆やお皿などのテーブルウェアがつくられていますが、江戸時代には印籠や胴乱など、上級武士が使う小物類が主流でした。

​ヤマザクラは、同じ樹種の皮でもそれぞれが個性ある豊かな表情を持つことが魅力。木が育った環境や樹齢など様々な要因が影響して表情に違いが生まれます。皮の特徴に合わせて、それぞれ呼び名が付けられています。

工芸品 樺細工 

産地 秋田県仙北市角館

素材 ヤマザクラの樹皮

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MEMENTOS

樺細工のブローチ

伝統工芸品「樺細工」の素材や技術を用いたブローチ。

 

創業1851年の藤木伝四郎商店が、桜皮を何枚も重ねて磨き上げる「たたみ」という技法を用いてつくります。

 

ブローチを横から見ると、桜皮が重なる層が見えます。

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むじかわ

無地皮

原皮の表面を削ると現れる赤茶色の層。ヤマザクラの皮の中でも定番として樺細工製品に多く使われています。表面を削って磨くため、元々ツヤがある仕上げですが、手沢によってさらに光沢が増し、使うにつれて表情が変化していきます。

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しもふりかわ

霜降皮

ヤマザクラの原皮。自然の中で育ったそのままの状態で製品として用いるため、表面には凹凸があり、ザラザラしています。灰褐色ですが、ところどころに白や黄土色の部分もあり、同じ霜降皮でも個性の差があります。使い込むと黒く鈍い光沢が増します。

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きんけいかわ

金系皮

原皮を削ると現れる金色の皮。表層と芯部層の間にあるため、金の皮を削り取ってしまわないよう、慎重に層を見極める必要がありますが、皮のすべてに金系の層があるわけではありません。金色の面積が広い皮は上質で希少。無地皮を用いた製品に金色の部分が含まれている場合があります。

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うらかわ

裏皮

ヤマザクラの皮の外側を表として用いるのが一般的ですが、裏側を表として用いた「裏皮」。橙色で、ごつごつした表情が特徴。

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ひびかわ

ひび皮

節と垂直の方向に無数のひびが入っている皮。寒冷地で育った老木に生じる特徴で、上質な皮に多く見られます。ひびの深さや太さは個体差があり、同じひび皮と呼ばれる皮でも表情は大きく異なります。

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にどかわ

二度皮

一度樹皮を採取したところに再生する皮。若い皮なので、コルクのような感触です。木の状態によって異なりますが、7年ほどの歳月をかけて再生した皮を再び採取し、製品として用います。木に負担のかからない採取の仕方を続ければ、三度皮・四度皮と回数を重ねることもできます。

制作工程

桜皮を選ぶ 

「ひび皮」「金系皮」「裏皮」などの特徴は表面には見えず、皮を削って初めて現れるため、削り過ぎると模様が失われてしまいます。皮選びや皮の表面を削る工程では、熟練した職人の確かな目と技術が必要です。

桜皮を重ねる

桜皮をニカワで1枚1枚接着し、重ねてひと塊にします。皮の種類によって厚みが違いますが、10枚から15枚ほどの桜皮を重ねています。ニカワが固まるまで数週間待ちます。

重ねた桜皮の塊を磨く 

重ねた桜皮の塊を手作業で研磨し、ブローチのサイズに合わせます。

素材の質感を楽しんでいただくため、樺細工のブローチには塗装を施しておりません。無垢の桜皮は時間の経過と共に変化し続けます。

製品の仕上げ方法によって変化の仕方は異なりますが、皮を育てるような気持ちで成長を見守ったり、自分と一緒に年齢を重ねていくような気持ちで付き合ったりすると、皮への愛着が深まるかもしれません。

​桜皮の

経年変化を

楽しむ

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お手入れ

研磨仕上げのブローチ

研磨仕上げの製品にはヤマザクラ独特のつやがあり、触れるほど、手の脂によって光沢を増します。時折、メガネ拭き等の目が細かく柔らかい布で、桜皮の節の目の方向に沿ってゆっくりと拭くことで、つやを保つためのメンテナンスをご自身で行なっていただくことが可能です。

表面が研磨されていないブローチ

原皮に近い状態が製品になっていると、凹凸がありザラザラとした手触りで光沢がありません。しかし、使い込むと、特に霜降皮やひび皮の場合、黒く鈍い光沢が出てきます。

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樺細工についてもっと知りたい

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川連漆器

か わ つ ら し っ き

川連漆器

​川連漆器の起源は鎌倉時代。木材や漆などの資源が豊富だった現在の秋田県湯沢市川連町は、刀の鞘・弓・鎧などの武具に漆を塗ったのが始まりといわれています。江戸時代初期には本格的な漆器産業がおこり、椀・膳・重箱などの生活用品がつくられるようになりました。沈金や蒔絵などの加飾の技法も加わりました。

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川連漆器のブローチ

伝統工芸品「川連漆器」のブローチ。

 

漆器の産地・川連で蒔絵師の3代目として家業を継いだ攝津広紀さんが、普段お椀や酒器などをつくる際に使う色や蒔絵の技法を用います。

 

漆器の特徴のひとつと言えるのが、赤い色。漆器には幅広い色味の赤が使われ、それぞれに異なる用途があります。

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くろ

黒呂

呂色仕上げの漆黒のブローチ。漆を塗り研磨する工程を繰り返し、最後には鏡のような艶が現れます。

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ほんしゅ

本朱

鮮やかな赤で、艶のある仕上げ。古くから神聖な色として、慶事には欠かせない。

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ぎんしゅ

銀朱

落ち着いた朱色で、マットな仕上げ。

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あらいしゅ

洗朱

黄色みを帯びた、橙色に近い赤。「朱色」を洗って色味がくすんだような色、と表現されることも。日本の関西地方では神社の鳥居などに使われる色。

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こだいしゅ

古代朱

艶感があるチョコレートのような色合い。

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たまり

赤い顔料を混ぜた漆を下地に塗り、その上の層に、乾くと半透明になる生漆を塗ることで下地の色が透けて見える技法。角張っている端に色がたまり、濃く発色するため、自然と輪が浮かび上がる。

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きんぷん

金粉

砥粉と漆を混ぜたもので表面の凹凸をつくり、金粉を蒔きます。マットな質感なので派手さはなく、むしろ落ち着いた印象です。

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ぎんぷん

銀粉

砥粉と漆を混ぜたもので表面の凹凸をつくり、銀粉を蒔きます。マットな質感なので派手さはなく、むしろ落ち着いた印象です。

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ぎんみがき

銀磨

漆に銀粉を重ね、研ぎ出します。表面はなめらかで、まるで冷たい金属の塊のようですが、土台は木なのでとても軽く、その意外性から、持った時にちょっとした驚きがあります。

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制作工程

漆を塗る

イタヤカエデの木地に漆を塗り重ね、制作します。

 

ブローチの種類により制作過程や仕上げ方法は異なりますが、漆を塗っては研ぐ工程を繰り返します。最後の仕上げでは研がない「塗り立て」「花塗り」と呼ばれる技法が川連漆器の特徴のひとつです。よりしっとりと柔らかい印象に仕上がり、さらには時間の短縮につながる一方で、塗った時点で塵が入ったりすると仕上がりの品質に大きく影響するため、高度な技術が必要です。

蒔絵の技法

仕上げの塗りの工程が終わると、「蒔絵」の技法を用い、金粉や銀粉などで加飾したブローチもあります。砥粉と漆で凹凸のある質感をつくったところに金粉や銀粉を蒔いたり、漆と銀粉を塗っては研ぐ工程を繰り返して艶を高めたり、色々な表現が可能です。

漆は年を経るたびに透明度が上がるため、徐々に明るい発色に変化し、手で触れるほどに艶を増します。

また、銀粉を研いで仕上げるブローチは、空気に触れた状態にあると銀の硫化により変色します。

ブローチの仕上げ方法によって変化の仕方は異なりますが、手にしたブローチを育てるような気持ちで変化を見守ったり、自分と一緒に年齢を重ねていくような気持ちで付き合ったりすると、愛着が深まるかもしれません。

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​漆の

経年変化を

楽しむ

白岩焼
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し ら い わ や き

白岩焼

​白岩焼の起源は江戸時代中期。秋田藩の財源のひとつが鉱山だった当時、採掘した鉱物の精製時に使っていた陶製の耐熱容器を作る技術者として現在の福島県から招かれた松本運七が、良質な土がある白岩に窯を開いたのが始まりです。

 

最盛期には6つの窯で約5,000人が携わる産業に成長し、庶民の日常品から藩への献上品まで幅広く活用されましたが、廃藩置県によって藩の庇護を失ったこと、藩外からの焼物の流入、そして震災による被害で、明治33年、白岩焼は一旦途絶えます。

70年後の1975年、窯元の末裔が和兵衛窯を開いて白岩焼の復興に尽力しました。白岩焼の技術は一切継承されていませんでしたが、特徴的な青みが、米品種「あきたこまち」のもみ殻の灰を含んだ「海鼠釉」によるものと突き止め、今に至ります。

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工芸品 白岩焼 

産地 秋田県仙北市角館白岩

素材 釉薬は秋田の米品種「あきたこまち」のもみ殻の灰を含む「海鼠釉」。土は白岩で採取。

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MEMENTOS

白岩焼のブローチ

工芸品・白岩焼の土・釉薬・技術を用いたブローチ。和兵衛窯の渡邊葵さんの丁寧な手仕事です。

白岩焼の特徴である「海鼠釉」の名称は、海の生物・なまこの斑点模様が由来。地元の米品種「あきたこまち」のもみ殻の灰が原料です。窯の中で熱せられ、土の鉄分と釉薬の灰が化学変化することによって鮮やかな青みが生まれます。

 

海鼠釉の深い青みと赤茶色の「土釉」の組み合わせは、春の雪解けで地面が覗く様が表現されているような、豪雪地帯・秋田らしい焼物。

「白釉」に金彩・プラチナ彩を施した新しい表現にも取り組んでいます。

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なまこゆう

海鼠釉

海鼠釉の奥深い青のグラデーションと、赤土色の土釉の組み合わせが、豪雪地帯・秋田の春の雪解けを思わせる三日月ブローチ。海鼠釉がかかった部分は少し浮き上がったように、ぽってりとしていて、土釉とじんわり馴染んでいる。

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はくゆう・きんさい

白釉・金彩

白釉に金彩を施した三日月ブローチ。白釉部分は艶があり、金彩部分はマットな質感。

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はくゆう・ぷらちなさい

白釉・プラチナ彩

白釉にプラチナ彩を施した三日月ブローチ。白釉部分は艶があり、プラチナ彩部分はマットな質感

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秋田銀線細工


あ き た ぎ ん せ ん ざ い く
 

秋田銀線細工

​主に純銀の線を用いてつくられる工芸品・秋田銀線細工。

 

豊かな鉱物資源に恵まれ、江戸時代から昭和の時代まで鉱山の開発が盛んだった秋田で培われてきた金工の技術から秋田銀線細工は生み出され、今もその技術が根付いています。

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工芸品 秋田銀線細工 

産地 秋田県

素材 銀線。撚って束ねた0.3-0.5mmの銀線でパーツをつくり、ロウ付けした後に仕上げる。

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秋田銀線細工のブローチ

矢留彫金工房を運営する職人の松橋とし子さん・小林美穂さん・髙橋香澄さんがつくる秋田銀線細工のブローチ。

秋田銀線細工のブローチは、0.3〜0.5ミリの銀線を撚って束ねて枠とパーツをつくり、枠の中にパーツをはめてロウ付けし、仕上げる工芸品です。

撚った銀線をギザギザ模様や渦巻き模様にしながら、ジュエリー等の作品にします。

秋田県が豊かな鉱物資源に恵まれた土地だったこと、江戸時代から昭和の時代まで鉱山の開発が盛んだったことから金工の技術が磨かれ、現代でも県内各地で銀線細工の技術が根付いていることから、秋田らしい工芸品として親しまれています。

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しまもよう

しま模様

職人・松橋とし子の作品。

撚線と甲丸線の2種類を交互に置き、裏板はツヤ消し仕上げにしています。

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うずもよう

うず模様

職人・小林美穂の作品。

丸い銀の枠をランダムに配置。
その中に直径0.5ミリの純銀線を2本撚り合わせ、潰した線をうず状に巻いてはめ込みました。

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ぎざもよう すかし

ぎざ模様 透かし

職人・髙橋香澄の作品。

ギザギザな透かし模様を施した繊細なデザインです。

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ぎざもよう しろ

ぎざ模様 白

職人・髙橋香澄の作品。

ふくらみのある土台にギザギザな線模様を組み合わせました。

銀線の白いマットな輝きがほどよいアクセントに。

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ぎざもよう くろ

ぎざ模様 黒

職人・髙橋香澄の作品。

ふくらみのある土台にギザギザな線模様を組み合わせました。

黒く燻した渋い銀の輝きが、角度によって様々な表情に。

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ぎざもよう わ

ぎざ模様 輪

職人・髙橋香澄の作品。

ギザギザな透かし模様を施した繊細なデザインです。

​小さなギザギザと大きなギザギザを斜めに配置したアシンメトリーなデザイン。

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